二次巻線上に発生する進行波と定在波



図1 ピックアップコイル電圧

上からZL=10kΩ,20kΩ,
40KΩ,80kΩ,160kΩ

それぞれ寄生容量10pF
冷陰極管用のインバータに使われる調相結合トランス(高周波の共振変圧器)を詳しく観察すると、二次巻線がインダクタンスと巻線間寄生容量による分布定数回路を形成していることがわかります。
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調相結合トランスとは→




二次巻線がこのように分布定数状になっていると、二次巻線上に進行波や定在波が発生する現象が観測されます。
この実験は、トランスの二次巻線上に発生する進行波や定在波の現象を捉えたものです。

写真1 進行波の測定実験
P:一次巻線

a:二次巻線初め

b:二次巻線中央

c:二次巻線終端
定在波が発生すると分布定数性の伝送路には
うねりが生じる。↓

図2 CQ出版社アマチュアのアンテナ設計法より

同軸ケーブルが共振する、という現象は、アマチュア無線に詳しい方なら知っている方も多いと思います。
それとそっくりな現象がトランスの二次巻線にも発生しているのです。
このような現象はトランスの二次巻線と負荷が持つ寄生容量とが共振する周波数でトランスをドライブした場合に生じます。
図1を見てみると、二次側に接続される負荷によって、ピックアップコイルa,b,cに発生する電圧(トランスの1ターンあたりに発生する微分電圧に等しい)がいろいろと変化していることがわかります。
ZLが40KΩあたりでピックアップコイルa,b,cに発生する電圧がほぼ等しい状態になっていますね。
位相も少しづつ遅れています。つまり進行波が観測されているわけです。
このことは、トランスの二次巻線が分布定数状になっているとするならば二次巻線は特性インピーダンスを持ち、特性インピーダンスがあるならばそのZoと負荷ZLが等しくなれば、二次巻線上には進行波が観測されるはずだという私どもの仮説(1993〜5年頃提唱)が正しいことを証明するものです。
当時、「そんなはずない」、なんて多くの人に言われましたが(--)
やっぱり二次巻線には特性インピーダンスがあるのです。JIECセミナー→
その特性インピーダンスよりも大きな負荷をつなげたり、小さい負荷をつなげたりすると、インピーダンスのミスマッチが起こり、二次巻線の遠端から反射波が生じ、その反射波と進行波が合成されると定在波が生じます。

図1を見てみると、

Zo>>ZLの場合
コイルaとコイルcとが逆相、コイルbの電圧がほとんど観測されない。

Zo<<ZLの場合
コイルaの電圧が低く、b,cと高くなっていく。

というような現象が観察できます。この現象は定在波が生じている証拠です。。
このようないろいろな実験結果から、アンテナ技術などで一般的だった話が、そのままトランスの二次巻線上でも通用するのだというわけです。

また、このように二次巻線が分布定数性の遅延回路を形成していると、一次巻線で発生した磁束が二次巻線を貫くことができません。(磁束が追突してしまうでないか・・・笑)
それで結局、追突した磁束は行き場所がなくなって磁束は二次巻線の途中から逃げ出すわけです。

その結果、非常に特殊な磁束の漏れ方を起こしている漏洩磁束トランスになります。
一次巻線と二次巻線とを貫く磁束のことを「主磁束」というのですが、このトランスの場合、どう定義したら良いのでしょうか?
主磁束の多くが二次巻線のうちの一次巻線近傍に貫入しています。
したがって、この部分を密結合部と呼ぶことにします。
一方、一次巻線から遠い方は磁束が漏れているのですから疎結合部ということになるでしょう。
同じ性質はテスラコイルにもあります。
インピーダンスアナライザを使ったテスラコイルの解析→


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